インテリア / Interior
『シアターマテリアル アーカイブ』
クラウドファンディング応援コメント
福井裕孝さんの「シアター」を取り扱う「行ない」は、今、真に重要で、このアーカイブ書物は、数千年後のレリクスになると予言します。「もっと評価されるべき」というタグもありますが、これはもうそういうことでもありません。評価とかですらないということです。必要欠くべからざるもの、しかし、まだ誰も発見していないものの第一発見者、福井裕孝さんの第一発見記録を、今、クラウドファンディングすれば、みんな揃って第一人者です。こういうコメントはどうしても冗談のように読めてしまうかもしれませんが、これ以外に表現する言葉が見つからないほどのものである、というのが私たちの真の実です。
©︎DanÅke Carlsson
小野彩加 中澤陽 スペースノットブランク
二人組の舞台作家・小野彩加と中澤陽が舞台芸術作品の創作を行なうコレクティブとして2012年に設立。舞台芸術の既成概念と、独自に研究開発する新しい仕組み(メカニズム)を統合して用いることで、現代に於ける舞台芸術の在り方を探究し、多様な価値創造を試み続けている。固有の環境、関係から生じるコミュニケーションを創造の根源として、クリエーションメンバーとの継続的な協働と、異なるアーティストとのコラボレーションのどちらにも積極的に取り組んでいる。詳細はWebサイトにて。spacenotblank.com
人間に興味なさすぎてウケる!
僕が青春を共にした劇場がどんどん無くなって寂しく感じていました。
劇場の面白がり方をたくさん見つけて盛り上げてください!
向坂達矢(むこうざか・たつや)
1983年焼津生まれ。京都ロマンポップという劇団の代表、脚本、演出、俳優をしていた。2015年の同劇団10周年を期に解散し始める。2019年の解散公演をもって解散する。まさゆきズの座付き作家。
お金がいる。福井さんにどんどんお金をあげるときっとすごいことになるし、なんかきっとオラファー・エリアソンみたいになる。そのためにお金って、やっぱりいる。言い換えると、どうすれば福井さんにお金が集まる社会を築けるのか。福井さんの活動はランドスケープであり、セノグラフィであり、お笑いであり、フィールドワークでもあり、いつも公共と私(わたくし)を軽やかに行き来しながらその構造を再認識させてくれます。無粋に生産性のことを言えば、このプロジェクトも結果として「未来の都市計画の中に劇場が組み込まれるかどうか」みたいなところで一役買うと思う。だからもう公共で福井さんをサポートし、どんどん事業に起用すべきなのだが、そしてその事に気がついている場ももうあるが(こないだは図書館をつくってたし!笑)今回は、市井に生きる私たちが一過性の流行り/廃りに同期してお金が流動することの多い世の中でふと立ち止まり、福井さんの活動を眺め、自分との関係を考えてみるきっかけになればいいなと思います。そういう風にして支援すると、きっとamazonじゃなくて街の本屋さんで本買った時みたいな「いいお金の使い方したな…」っていうあの種類の豊かさを味わえる気がします。
岡本昌也(おかもと・まさや)
1995年生まれ。劇作家・演出家・映画監督。演劇/映画を主軸に音楽・ファッションなど様々なカルチャーを横断。パスティーシュを駆使したポップで散文的な作風でミクストメディアな作品を多数発表。
1+1は3にもなる、表現とはそういうことが可能なのだと言うやつがいる。なにかあまり信頼できず、正義のための戦争はあると言うのと似ているいやそれはそれとして、福井くんの話だ。彼は1+1は3どころか、1+1を2にすることも慎重になる演出家だ。1はまず1なのであり、舞台上には1、1、1、1、1、1、1、1、1、1、1、1、1、1が並べられる。観客はそれらを眺め、各々が足して2にしたり4にしたり100にしたり1のままの1のかっこよさに惚れ惚れしたりする。福井裕孝演出『インテリア』はなんだかそんな演劇だったと思うが、わたしはそこに出演して眺めることができなかったから本当のところはわからない。眺められるのは今度出るカタログで、1000以上の1が記録されているという。激し いな。静かすぎて耳鳴りがするハードコアな書物。これに立ち会わずなんとしよう。
金子仁司(かねこ・ひとし)
岐阜県下呂温泉出身。京都造形芸術大学舞台芸術コース卒後、2006年から解散まで劇団維新派に所属。振付など多く担当する。2018年に石原菜々子ら解散時のメンバーとkondabaを結成。細野ビルジング地下室、生野地方卸売市場駐車場、桑津の元・木工所など大阪の劇場外で上演を行なっている。外部出演では和田ながら演出「オフリミット」、福井裕孝演出「インテリア」。地点「罪と罰」など。
演劇に限らず、創作が広く市井に開かれるために必要なこととは、閉じないことでもあると思う。だのに劇場のブラックボックスは、暗闇の獲得と引き換えにさまざまなものを内部に封じ込めつづけてきた。そこに再び光を当てるには、劇場をマジに壁一枚から解体してしまうとか、あるいはそもそも劇場から脱出してしまうだとか、おそらくそうしたノンフィクションな世界に一度アクセスしてからでないとなかなか難しいのだろうか。しかし本プロジェクトにおける福井裕孝は、その壁に果敢に立ち向かっていくように見える。劇場の内外をひっくり返し、内部に閉じ込められた〈もの〉を本に綴じ、そしていつでも開き返せるようにすること。それはつまり〈もの〉を介して、壁 を殴りつづけることに相当する……なんて品の良い「大脱出」だろう。まだまだ、劇場の壁は分厚い。しかし完成したこの本を誰かが開くとき、きっと演劇に強い光が差し込みますように。応援しています。
Photo by comuramai
吉野俊太郎(よしの・しゅんたろう)
1993年新潟県生まれ。2019年東京芸術大学大学院美術研究科修士課程修了。同大学院美術研究科博士後期課程に在学中。専門は彫刻。「操演される彫刻」というテーマで、彫刻物の自我とその演出法に関する研究を行っている。主な個展に「Plinthess」(Gallery美の舎、東京)及び「Peripeteia」(駒込倉庫、東京)。2021年、福井裕孝による公演『デスクトップ・シアター』(ロームシアター京都・京都)に共同演出として参加。2019年より東京都小平市にて共有スペース「WALLA」を始動、以後運営に携わる。
このプロジェクトのことを考えていたら、遺影、という言葉が浮かんだ。劇場はさまざまなテクノロジーに支えられている。テクノロジーは更新され、それによって生み出されるマテリアルもまた更新されていく。そしてテクノロジーとマテリアルからつくられる〈もの〉は、古くなるか壊れるかして、徐々に新しいものに交代していく。100年も経ったら、このアーカイブカタログに載っている〈もの〉たちのおそらくほとんどは、この劇場から退場してしまっているだろう。そのときこの本は、このプロジェクトがなければ肖像が残らなかったような〈もの〉たちの遺影のカタログとして、わたしたちのはるかな後輩にページをめくられ、「なにこれどうやって使うの」とかれらがにやにやするのを、この劇場の本棚でじっと待っている。だからどうかそれまでここがシアターでありますように。と、祈るような気持ちになりました。未来を想像する現在の遺影。現物を手にするのが楽しみです。
撮影:守屋友樹
和田ながら(わだ・ながら)
京都造形芸術大学芸術学部映像・舞台芸術学科卒業、同大学大学院芸術研究科修士課程修了。2011年2月に自身のユニット「したため」を立ち上げ、京都を拠点に演出家として活動を始める。主な作品に、作家・多和田葉子の初期作を舞台化した『文字移植』、妊娠・出産を未経験者たちが演じる『擬娩』などがある。美術、写真、音楽、建築など異なる領域のアーティストとも共同作業を行う。2018年より多角的アートスペース・UrBANGUILDのブッキングスタッフ。NPO法人京都舞台芸術協会理事長。
福井さんの作品を初めてみたのは2019年の「デスクトップシアター」でこれを見た時、「!!!!!!!!!」て感じだった。
なんか、こう、初めてAppleのAirPods Proのノイズキャンセリング体感した時みたいな、うまく言葉にできないけど、とにかく最高空間だった。
この時、全くの他人だったけど終演後に福井さんのところに行って「私、あなたの作品に参加したいです」って言ったのを今でも覚えてる。言えて良かったって今でも思う。
で、いま、2024年、福井さんは<もの>のカタログを作っている。
まだ誰も体感したことのない新しい「!!!!!!!!!」がまた生まれる。
ワクワクしかない。
今、このページを見ているあなたが何か感じとって一緒に福井さんたちを応援してくれたらとても嬉しい。本当に。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
石田ミヲ(いしだ・みを)
俳優としてスペースノットブランク、山本ジャスティン伊等、マレビトの会、小泉明朗、吉田萌等の作品に参加。近年出演作は「Museum ll Ridden」インドネシアダンスフェスティバル(ジャカルタ)、アジアディスカバリーアジアミーティング(台北)等にダンサーとして参加。福井裕孝作品には「インテリア」2020年(東京/京都)2023年(豊岡)に参加。
この福井くんの作品は面白い。僕にとっては、軽い気持ちで笑える、というような意味として、なんならお笑いを見るような感覚で面白い!と思っている。
舞台の上で起こることはそれ以上も以下もなく具体的なのに、だからこそ? さっぱりしたおかしみがいつもある。 #部屋と演劇という集まりで、よく福井くんがコントの話をするのを聞いてるのもあるかもしれない。
シアターマテリアルには人が登場しないけど、その面白さは地続きに思う。
ものたちが舞台に集合したのを画像で見た時、すべてのものが客席に向かってその“顔”を向けていると知った時!思わず笑ってしまった。ものが並んでいる、それ以上でも以下でもない。あっけらかんと、壮観だ。
よもや、どうこの魅力に言葉をつくしていいのかわからない。今度はそれがカタログになる。それを手にとるとどんなふうに僕は思うだろう。わからないけど楽しみだ!
撮影:本藤太郎
中村大地(なかむら・だいち)
1991年東京都府中市生まれ。東北大学文学部卒。在学中に劇団「屋根裏ハイツ」を旗揚げし、8年間仙台を拠点に活動。2018年より東京に在住。現在は仙台・横浜・東京をゆるやかに行き来しながら創作をつづける。土地と協働しながら記録をつくるコレクティブNOOKのメンバー。#部屋と演劇